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今回は犬の乳腺腫瘍に関して触れていきます。

 

「うちの子が悪性腫瘍になるなんて考えもしなかった」

 

と、いう声を聞くことがありますが、

 

中高齢のワンちゃん(特に避妊をしていない子)で、

 

乳腺腫瘍は発生頻度が高い腫瘍であるため、

 

日頃から注意をしておくといいと思います。

まず、犬の乳頭(乳首)は胸の前の方からお腹の下の方にかけて左右に5対あります。

 

乳腺はこの乳頭に沿って存在すると考えるとイメージしやすいかもしれません。

乳腺(乳首の周囲)に沿って、硬くてコロコロしたしこりがある場合には要注意です。

 

この機会にぜひチェックしてみてください。

乳腺腫瘍には、良性腫瘍悪性腫瘍(いわゆる乳癌)があり、その確率は50%ずつと言われています。

 

目安として、しこりの直径が3cmを超える場合には悪性の可能性が高くなります。

良性・悪性のどちらであっても、はじめは胸やお腹にしこりがあるだけで、いたって健康にみえるため、

 

「とりあえず元気も食欲もあるし、しこりは気になるけど様子を見てみよう」とされる飼い主様も多いです。

確かに良性だった場合には、大きくなるスピードが遅いため経過をみていても、

 

特にトラブルなく数ヵ月から数年経過することもあります。

 

ただ、悪性だった場合には、しばらく様子を見てしまったがために、

 

取り返しがつかないほど腫瘍が大きく成長してしまうこともあります。

 

また、短期的な大きさの変化がなくても

 

良性腫瘍が悪性腫瘍に変化する悪性転化

・発情によってホルモンバランスが変化し、腫瘍が急激に大きくなる

・別の乳腺に新しいしこりができてしまう

・腫瘍表面がもろくなって血や膿が出てくる

など後々になって問題になってくることもあります。

〜乳腺腫瘍の治療〜

乳腺腫瘍の治療は、基本的には手術による腫瘍の摘出になります。

 

腫瘍が大きくなるほど手術は難しく、負担も大きくなりますし、

 

また、高齢になるにつれて麻酔のリスクが上がっていきます。

さらに、悪性乳腺腫瘍は、肺や内臓、骨などへ転移を起こすことがあり、

 

病院で検査をした時には既に癌が進行しており、治療が難しいことさえあります。

ついつい、様子を見てしまいがちな乳腺腫瘍ですが、

 

上記のように、飼い主様が想像していなかったような経過になることもありますので、

乳腺にしこりを見つけたときには早めにお近くの動物病院での診察を受けてみましょう。

 

〜乳腺腫瘍の予防について〜

前述したとおり、乳腺腫瘍は特に避妊をしていない女の子のわんちゃんで多い腫瘍です。

つまり、避妊手術で発生を予防できる病気の一つですので、

当院では、わんちゃんの繁殖を希望されない場合は、生後半年〜1歳までの避妊手術を推奨しています。

避妊手術について迷われている飼い主様も、メリット・デメリット含めてご説明いたしますので、

お気軽にご来院ください。

犬乳腺.jpg

大きくなりすぎてしまった乳腺腫瘍

《犬の乳腺腫瘍について》

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