練馬区の動物病院 練馬セイブペッツ
《猫の乳腺腫瘍について》
猫の乳腺（胸やお腹の乳首の付近）に沿って、硬くコロコロしたしこりができている時には乳腺腫瘍の可能性があります。
特に、避妊手術をしていない高齢の猫さんは乳腺腫瘍のリスクが高いので、
この機会にお胸やお腹のあたりを触ってみてください。
猫の乳腺腫瘍の80-90％が悪性腫瘍（いわゆる乳癌）です。
猫の乳腺にしこりがある時には基本的には悪性腫瘍だと考えて行動する必要があり、
様子を見ていてもいいことはありません。
日頃のスキンシップの中で乳腺にしこりを見つけた時には、
それが米粒のような大きさであっても、本人が全く気にしていないとしても、
飼い主様が忙しかったとしても、猫ちゃんが病院嫌いだったとしても、
動物病院を受診されることを強くお勧めします！！！
様子を見ていると、
早い場合だと数ヶ月から半年程度で腫瘍がどんどん大きくなり（個体差はありますが）、
腫瘍の表面から出血や排膿を繰り返すことがあります（自壊といいます）。
乳腺腫瘍に限らず、
腫瘍が自壊した場合にはお薬で出血や排膿を止めることは難しく、
本人にとっても飼い主様にとっても非常に負担が大きいものになってしまいます。
〜乳腺腫瘍の治療について〜
乳腺腫瘍の治療は基本的には手術になります。
腫瘍が大きいほど周囲へ腫瘍が広がっているため、
適切に手術した場合でも腫瘍が取りきれずに術後の数ヶ月から半年程度で再発してしまうことがあります。
再発した場合には再手術を検討しますが、
2回目の手術はさらに再発するリスクが高くなり、根治性はどんどん下がっていきます。
転移については近くのリンパ節への転移や肺転移の割合が多く、
肺に転移した場合には咳や呼吸困難などの症状が出てきます。
猫の乳癌は抗癌剤などのお薬での治療成績が良くないため、
転移に対しては、
咳止めや酸素室管理、痛み止めなどでできる限りの緩和ケアを行っていくことになりますが、
厳しい状況の中で最期を迎えてしまうことも少なくありません。
乳腺腫瘍は非常に怖い病気であるために早期発見と早期治療が非常に重要になってきます。
目安として、
発見時に腫瘍の直径が3cm以上だった場合には、
そこから治療をしたとしても、多くの猫ちゃんが半年から1年程度で亡くなってしまいます....
一方で、
「2cm以下で治療ができた場合には3年以上再発や転移をせずに問題なく生活できた」
とする報告もあるくらいです。
乳腺腫瘍は検査をしなければ発見できない胸の中やお腹の中の腫瘍とは異なり、
日頃のスキンシップで見つけることができる腫瘍ですので、
ご自宅での健康チェックにぜひ乳腺腫瘍のチェックを加えてみてください。